『読めば心が熱くなる! 中国古典100話: 人の上に立つ 人を育てる 人をまとめる』より

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読めば心が熱くなる! 中国古典100話: 人の上に立つ 人を育てる 人をまとめる』
(山口謠司 著)
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・羊を亡いて牢を補うも、未だ遅しと為さず。
・物事には、知ってはいけないことがあり、知っていなければならないものがあります。忘れてはいけないことがあり、忘れなくはならないものがあります。
・言い争っている間に、漁夫が現れて、嶋と蛤を二つとも捕まえてしまったのです
・人材が続々と集まる方法「先ず隗より始めよ。(燕 四四〇)
・その世界で権威のある人の力を活用する

・羊を亡いて牢を補うも、未だ遅しと為さず。

羊が逃げてしまったあとで牧場の囲いを直しても、必ずしも遅くはない。

・物事には、知ってはいけないことがあり、知っていなければならないものがあります。忘れてはいけないことがあり、忘れなくはならないものがあります。

趙の王が、秦の軍を破って、趙の都を救った将軍を出迎えた。

そこで、趙の臣下で、非常に頭が切れる唐雎という人が将軍に向かって言った。

「物事には、知ってはいけないことがあり、知っていなければならないものがあります。

忘れてはいけないことがあり、忘れなくてはならないものがあります」

具体的にはどういうことかと、将軍は訊いた。

「自分を憎んでいる人がいるということは、知っていなければなりません。

しかし、自分が憎んでいる人のことはいつまでも覚えていてはなりません。

同じように、恩がある人のことを忘れてはなりませんが、自分が人にした恩をいつまでも覚えていてはならないのです」

意気揚々と凱旋した将軍に対して、唐雎は苦言を呈したのである。

敵に勝つことが、同時に怨みを買うことにもなりかねない。

王からの特別の計らい を受ければ、それをよく思わない者もいるかもしれない。

賞賛を得たときにこそ自分を省みることが必要だと、唐峰は教えるのである。

・言い争っている間に、漁夫が現れて、嶋と蛤を二つとも捕まえてしまったのです

漁者、得て、之を并せ摘えり。(燕 四五六)

「漁夫の利」という 諺 で知られている話である。

趙が燕の国を討とうとしていた。

燕を助けるために、蘇代という策謀家が、趙の王のところに出かけて言った。

「ついいましがた、こちらへ来ようとして易水を通りかかったところ、蛤が水面で口を開けているのが見えました。

そこに鴫が餌を探しに現れました。

ちょうど、鴫が長いくちばしで蛤を啄もうとしたところ、蛤はパッと口を閉じてくちばしを挟んだのです。

鴫が言いました。

『一日中そんなふうにオレのくちばしを挟んでいたら、カラカラに乾燥して、お前は死んでしまうだろう』

それに対して蛤が言いました。

『今日も、明日も、このままオレに挟まれていたら、餌が取れずに、お前は飢えて死んでしまうだろう』

そう言い争っている間に、漁夫が現れて、嶋と蛤を二つとも捕まえてしまったのです」

策謀家は、改まって王に言った。

「王様、燕を討とうとしておいでのようですが、もし、戦争を始めたら、勝敗がつくのに時間もかかり、どちらの国も 悴するでしょう。

そこを狙って大国の秦が漁夫のように両国を取り押さえてしまうに違いありません」

趙は、この話を聞いて、燕を討つことを取りやめたのである。

「漁夫の利」を招かないか再考を』

・人材が続々と集まる方法「先ず隗より始めよ。(燕 四四〇)

燕の国を立派なものにしたいと願う王に招かれた郭隗という賢者が、次のような話をした。

「むかし、千金のお金を出してでも、一日に千里を走る馬を手に入れようと考えた君主がありました。

ところが、三年経っても、そんな名馬は見つかりません。

ところが、小間使いをしている男が、『私が買って参りましょう』と言ったのです。

君主は、彼を買いにやらせます。

すると三ヵ月歩き回った頃に、彼は千里の馬を見つけました。

しかし、残念ながらその馬は死んでいたのです。

男は、しかたなく五百金を出して馬の死体を買うと、そ
れをもって君主のところへ戻りました。

君主は、男を叱って言います。

『私が欲しいのは生きた馬だ。

死んだ馬をこんな高いお金で買って来るとは何事だ!』

男は答えました。

『君主様、私を叱るのはかまいませんが、黙って見ていてください。

そのうち、千里の 馬が何頭も手に入ることになりますから。

いま世の中は、君主様が求める名馬のことでもちきりです。

死んだとはいえ、名馬とあれば、五百金を出しても買う君主のことだ。

名馬の価値がわかる君主は、生きた馬なら、千金を出して買ってくれるに違いない、と』

それから一年もしないうちに、君主のところには、名馬が三頭もやって来たのです」

郭隗はこの話を終えると、燕の王に言った。

「まず、私、腕をお召しになるところから始めたらいかがでしょうか」

郭塊は、自分を「死んだ名馬」にたとえたのである。

すると、名馬を求めた君主の話同様、数年もせずして、燕には賢者と呼ばれる人が全国から集まり、国は大いに栄えたのである。

・その世界で権威のある人の力を活用する

一旦にして馬の価十倍せり。(燕 四四七)

ある男が馬を売ろうとして、街の辻に立った。

しかし、三日経っても、誰も馬の値段さえ尋ねようとはしなかった。

男は、馬を見分けることを職業とする伯楽のところへ行ってお願いをした。

「私が立っているところを通り過ぎ、一度戻って来て、馬をよく見て撫で、そこを立ち去って、もう一度馬を振り返って見て欲しいのです。

それだけしていただければ、半日分働いたほどのお金をお支払い致します」

翌日、伯楽は言われたように男の馬を眺め回して撫でると、立ち去ってもう一度振り返って馬を見つめたのだった。

すると、「馬の値段はたちまち十倍となり」、男は見事に、思った以上のお金を手にしたのである。

「目きき」の影響は大きい

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