『のうだま2 記憶力が年齢とともに衰えるなんてウソ!』(上大岡トメ 著,池谷裕二 著)からの学び

本の学び

『のうだま2 記憶力が年齢とともに衰えるなんてウソ!』(上大岡トメ 著,池谷裕二 著)からの学び
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【その1】

○要点
・年を取っても記憶力は衰えない
・記憶の総量が増えているので思い出しにくい
・そもそも覚える努力をしない
・人生に慣れて新鮮さを感じない
・人生が長いので思い出せない回数も多い

・年を取っても記憶力は衰えない

 年を取ると記憶が衰えると世間でよく言われるが、そこまで衰えることはない。
 多くの人がそのような実感をもつことは事実。
 しかしそれは単なる「気のせい」

・記憶の総量が増えているので思い出しにくい

 長く生きていると、付き合いも増え、名前の数も何千何万。
 その膨大な量の情報から検索するのだから、時間がかかったり、すぐに名前が出てこないのは当たり前。

・そもそも覚える努力をしない

 若い頃は、いろいろなことを覚えるのが仕事。
 テスト前にテスト勉強を頑張っていたように。
 あれほど頑張ってもなかなか覚えられなかったのに、年齢を重ねてくるとあれほど頑張ることがそもそもなくなっている。
 覚える努力をしないのだがら覚えられるはずがない。

・人生に慣れて新鮮さを感じない

 新鮮なもの、好奇心が働くものは覚えやすい。
 人生に慣れてくると、その好奇心がなかなか働かなくなる。
 覚えにくいのではなく、わくわく感を感じなくなっている。

・人生が長いので思い出せない回数も多い

 若い頃と年を取ってからの時間間隔は違う。
 子供の「つい最近」は数日間、大人の「つい最近」はずっと長い。
 つい最近のことが思い出せないのは当然。
 また、思い出せなかった回数も多くなるので、ど忘れが増えたという気になってしまう。

【その2】

○要点
・記憶には短期記憶と長期記憶、即時記憶がある
・長期記憶の門番が「海馬」
・長期記憶には経験記憶、知識記憶、方法記憶がある
・回数を減らして長期記憶にするコツはLTPとθ波
・扁桃体も記憶力を高める
・忘れる=頭の中にない+アクセス方法がない

・記憶には短期記憶と長期記憶、即時記憶がある

即時記憶:その場の記憶なので数分ももたない
短期記憶:一時的に保管する記憶。容量も少ない
長期記憶:長期間保管する記憶。容量も大きい

短期記憶でキープできる情報は約1ヶ月。その情報を長期記憶に移動すれば、長く覚えておくことができる。

・長期記憶の門番が「海馬」

すべての情報を長期記憶に移動するとすぐにいっぱいになる。
また、長期記憶でデータを保存するには脳にエネルギーが必要になる。
だから何でもかんでも長期記憶に保存できない。

つまり、「脳は覚えることより忘れることのほうが得意」
脳の門番が「海馬」で、その情報が生きていくために必要かどうかで、情報を選別している。
使用回数が多いと何度も思い出す脳は、生命に関わる大切なことと勘違いして、長期記憶に保存してしまう。

・長期記憶には経験記憶、知識記憶、方法記憶がある

知識記憶:学習した数式、公式、年号、人や物の名前
経験記憶:自分の実際の経験・体験記憶
方法記憶:生まれてから取得した物の「使い方」「やり方」などすべて

知識記憶はすぐに忘れてしまうが、経験記憶はよく覚えている。
経験記憶はいつでもわりと自分に思い出せるが、知識記憶は思い出すことが難しい。

知識記憶は「きっかけ」によって思い出す。
「きっかけ」が弱いと知識記憶は思い出せない。
だからど忘れのほとんどが人や物の名前の知識記憶。
知識記憶も経験記憶のように自分のこととしてストーリーじたてで覚えると覚えやすい

経験記憶、知識記憶は「コトバ」で伝えることができるが、方法記憶は「コトバ」で伝えることは難しく、実際に経験してみた方が早い。

方法記憶には2つの特徴がある。
①無意識に作られる
②1度覚えると忘れにくく強固
だから、自己流でやると、なかなか抜け出せない。

方法記憶は1歳頃発達する(生命維持に関わる)
知識記憶は3歳頃から発達する
経験記憶は6歳頃から発達する

・回数を減らして長期記憶にするコツはLTPとθ波

LTP(Long Term Potentiation)が記憶を作りあげている。
思い出すこと=復習が電機のかわりの刺激になる。
つまり何度も復習するとLTPが起こる。

θ波は興味を持っているときや好奇心が活発に働いているときに「海馬」から出る。
θ波が出ているときはLTPが起きやすい。
反対にマンネリになるとθ波は出なくなる。
ドキドキワクワクが少ないと記憶力も悪くなる。

・扁桃体も記憶力を高める

感情が動くと扁桃体が活動する。
するとLTPがよく起こる。
覚えるときには感情が動くようにするとよい。
棒読みで読むよりも感情的に読むなど。

・忘れる=頭の中にない+アクセス方法がない

「忘れる」には2つのパターンが考えられる。
①その記憶が頭の中に残っていない場合
②記憶は残っているが、そこまでのアクセス方法を忘れた場合

回数を多く思い出して(復習)道を作ることが大事。
アクセスのしかたも「方法記憶」
覚えるときに、単独で覚えようとしないでいろんなものに関連づけて覚えるようにするとよい。

【その3】

○要点
・新しい情報を身に付けた日は6時間以上の睡眠が必要
・就寝時間の1~2時間前は、記憶のゴールデンタイム
・歩いているとき小腹が減っているとき海馬からθ波が出る
・記憶は失敗と繰り返しで形成強化される
・記憶には「復習」ではなく「出力」が大事
・記憶が完璧だとかえって生活しづらい

・新しい情報を身に付けた日は6時間以上の睡眠が必要

睡眠中、海馬は昼間得た情報を夢の中で再現し、さまざまな形で組み合わせ、整合性をテストする。
つまり復習しながら整理する。
時間が足りないと海馬は記憶を無差別に廃棄してしまう。
つじつまの合わない夢は昼間の出来事を断片的に再生しているから。
一晩に見る夢は膨大な数だが思い出せるのは1%程度。

・就寝時間の1~2時間前は、記憶のゴールデンタイム

θ波は歩いているとき、移動しているときに出るが、もっとも強く出るのは夜。寝ているとき。
集中学習より分散学習(何日かに分けて学習)の方が記憶の定着度が高い。
朝覚えるより、夜(睡眠の前)覚えた方が記憶の定着度が高い。

・歩いているとき小腹が減っているとき海馬からθ波が出る

メソッド1 覚えるときは歩きながら
メソッド2 お腹が減っているときは記憶するチャンス
メソッド3 おなかがいっぱいのときは覚えづらいので昼寝

・記憶は失敗と繰り返しで形成強化される

こんな実験
○が表示されている時にレバーを押すとえさが出る
犬がレバーを押して偶然えさが出る
何度もレバーをおすが、○のとき以外出ない
あるとき偶然、○との関連性を発見
その後はほとんど失敗しなくなる

勉強でも仕事でも日常生活でも「覚えられなかった」と嘆かず、気にしないで繰り返すこと。

・記憶には「復習」ではなく「出力」が大事

脳は出力依存。
教科書や参考書を見直すより、問題集をどんどんやった方が効果的。
テストで記憶増強がなぜ生じるのかというと、解答を導くためのヒントも同時に脳内で作るから。

・記憶が完璧だとかえって生活しづらい

もし記憶が完璧だったら、次にAさんい会ったとき、服が違ったり髪型が違っていたりすると別人になってしまう。

脳はAさんの特徴を抽出するよう努力する。
完璧に覚えるのではなく、忘れてしまうのでもなく、普遍の共通項を記憶してゆく。
誰が書いた文字でもほぼ読めるのは、脳のそのような機能のおかげ。

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