『共感力を育む: デジタル時代の子育て』より

学級経営

『共感力を育む: デジタル時代の子育て』
(ミシェル・ボーバ 著)
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・私たちは一般的に、自己イメージに合わせて行動する
・自己陶酔が蔓延している。「自分は特別だ」と感じる子どもは、自分の要求と気持ちに焦点を置き、自分の視点でしかものを見ない。
・褒め言葉を大盤振る舞いしている。「よくやった」と子どもを褒めることは間違いではないが、自尊心の増大はかつてないほど昂じていて、子どもの思いやりの能力を危うくしている。
・自尊心の増大は、学校、大学、職場でも。「自分は特別だ」と感じる子は、世界は自分を特別扱いする義務があると信じてしまう。
・過度の称賛は、子どもをより自己中心的にし、より競争的にし、より他人を切り捨てやすくする。
・あなたの言葉に対する子どもの反応に注意しよう
・褒め言葉と性格を関連づけよう。
・子どもの性格を褒めるほうが、行動を褒めるよりは、子どもの自己認識の一部として利他精神の内化に効果
・子どもにしてほしい行動の模範を示すのを忘れないようにするといい

・私たちは一般的に、自己イメージに合わせて行動する

だからもし子どもに共感力のある人になってほしいなら、子どもは、自分のことを思いやりがある人間だと意識し、ほかの人の気持ちや考えを尊重することが学ばなければならない。

また、大人は、子どもが道徳的な強さと思いやりの重要性を認識し、重んじる大切さを学べるように手助けをする必要がある。

・道徳的自己認識を発達させるのが難しい理由・自己陶酔が蔓延している

ギャロップ社は、一万一千人以上の一〇代前半の若者を対象とした世論調査の回答を比較した。

四〇〇以上ある項目のうちで、過去四〇年間で一番大きな変化を示した一つは、「私は重要な人間だ」という意識だった。

一九五〇年代にはほんの一二%だった「自分は非常に重要だ」と考える人が、一九八〇年代の後半までに八〇%以上に増加した。

それどころか、自己陶酔はまだまだ増加の一途をたどっている。

これは確かな道徳的自己認識の発達には、問題となる情報である。

「自分は特別だ」と感じる子どもは、自分の要求と気持ちに焦点を置き、自分の視点でしかものを見ない。

彼らの世界観からは、自分以外の人が抜け落ちている。

・褒め言葉を大盤振る舞いしている

複数の要因が子どもを「自己中心モード」に閉じ込めるが、絶え間なく過度の褒め言葉を与えることは、最も罪が深い。

今日では、子どものお絵かきはすべて冷蔵庫に誇らしげに飾ってあるし、子どもの得たトロフォーやリボンや資格証明が所狭しと棚に並んでいる。

「よくやった」と子どもを褒めることは間違いではないが、自尊心の増大はかつてないほど昂じていて、子どもの思いやりの能力を危うくしている。

最近のオハイオ大学の研究で、自己陶酔の進展を調べるために、一年半にわたって四回、親子の調査を行った。

結果は明らかだった。

調査が始まった時に「我が子はほかの子どもと比べて特別だ」と評価した親を持つ子どもは自己陶酔度が高いことが、その後のテストで明らかになった。

子育ての仕方が何か違いを祖湯汁のだろうかという疑いに、このと遊佐結果は明確に答えている。「うちの子は特別だと親が話すなら、子どもはそれを信じ込む。これおは、子どもにとっても社会にとっても、また、道徳的自己認識や共感力を育むためにもいいことではない」と、共同研究者の一人であるブラッド・ブッシュマンは説明している。

・自尊心の増大は、学校、大学、職場でも

子育てについてのこのような変化は、社会全般にも影響を及ぼしている。

多くの学校が「自尊心の限りない充足」に加担している――生徒の自尊心を傷つけないようにと、赤ペンによる添削を排除するほどだ。

スポーツ界もこの風潮に乗っている。

あるスポーツ協会の支部は、できるだけ多くの子が小をもらえるようにと、年間予算のおよそ一二%をトロフィーのために使っている。

子どもの自尊心を膨らませ過ぎることの問題は、第一に、賞賛を聞けば聞くほど、子どもはもっとそれを必要とするようになることだ。

第二に、「自分は特別だ」と感じる子は、世界は自分を特別扱いする義務があると信じてしまう。

あの「自分第一」のセルフィ症候群的信仰が続く。

現在、最高に褒めちぎられて育って世代が、「私は特別だ」という気持ちを大学、職場まで持ち込んでいるのである。

大学の教員は、学生が特別扱いに価すると感じていることについて、こぼしている。三分の二の学生は、「頑張った」と説明すれば教授が成績について特別な配慮をすると信じている。

また、三分の一の学生は、出席するだけで最低「B」の成績に値すると感じているし、三分の一の学生は、期末試験が自分たちの休暇の予定と重なるなら、試験日が変更されるべきだと感じている。

ウォール街の経営者たちは、若い社員が常に賞賛を期待していることについて、首をかしげている。

フォーチュン誌が選ぶ優良企業五〇〇社の中には、若い社員の褒め方を管理職に教えるために、「称賛コンサルタント」を雇うものさえある。

親が子どもの気分をよくしたいと思うのは当然だが、そこで見過ごされているのは、ほかの人への思いやりを育むことである。

科学は、しっかりとした自己認識を持ち、共感的で、思いやりがあり、利他的な子どもを育てるための褒め言葉の使い方を示唆している。

・子どもの道徳性を高める方法・過度の称賛は、子どもをより自己中心的にし、より競争的にし、より他人を切り捨てやすくする。

私たちがかける言葉一つで、子どもは自分がどんな人間かを認識する。

励ましがあまりに少なければ、自己の肯定感を損なう。

逆に、適切な言葉かけは、自分のことを思慮深く思いやりのある人間だと考え、そのイメージ通りに行動したいと思う手助けをする。

・あなたの言葉に対する子どもの反応に注意しよう

過度の称賛をしている兆候がないか、気をつけよう。

自己中心的で、ほかの人のしてくれたことを忘れている。「私はすごくよくやった!」

称賛に依存し、常に認めてもらいたがる。「ママ、気に入った?」

称賛を期待し要求する。「『よくやったね』って言ってくれないの?」

自分の気分をよくするためにほかの人と優劣をつける。「〇〇ちゃんは失敗したの」

もしこれらの兆候が繰り返されることに気付いたら、あなたの育児スタイルを変える時かもしれない。

・褒め言葉と性格を関連づけよう。

「あなたは人助けが好きだから寄付をしたのね」と言われた子どもは、「そうすべきだから寄付をしたのね」と言われた子どもよりも、将来ずっと気前のよい人になるという。

子どもの行動がその子の自己認識とどのように合致しているかを言葉にすることで、子どもが自分を善い人間だと認識することを手助けするといい。

「ランディ、君はいつも人に助けの手をさしのべるね」

「あなたは思いやりのある子ね。いつもほかの人の気持ちを考えてあげてる」

褒める場面がどうかも確認しよう。

・子どもの性格を褒めるほうが、行動を褒めるよりは、子どもの自己認識の一部として利他精神の内化に効果

行動ではなく、性格に焦点を当てよう

七歳から一〇歳までを対象にしたある研究は、子どもの性格を褒めるほうが、行動を褒めるよりは、子どもの自己認識の一部として利他精神の内化に効果があることを見いだした。

性格に焦点がある褒め言葉「あなたは、人の役に立とうとする性格なのね」「あなたは思いやりがあって、人の手助けをする子ね」

行動に焦点がある褒め言葉「両親のいない子に鉛筆を贈ったのは親切だったね」「おもちゃを一緒に使って、思いやりがあったね」

・子どもにしてほしい行動の模範を示すのを忘れないようにするといい

ある実験で、学齢期の一四〇人の子どもがゲームに勝って賞品を受け取った。

それから、その賞品を自分で持っていてもいいし、貧しい子どもたちに寄付してもいいと告げられた。

しかし、生徒は決める前に、自分の先生がその賞品をどうするかを見守った。

賞品を寄付しなさいと言ったのに、教師が自分の賞品は手放さなかった場合には、子どもは寛大さをあまり見せなかった。

教師が与えることの価値について離した後で賞品を寄付した場合、子どもは初めは気前良くしたが、将来の気前よさには影響を与えなかった。

しかし教師が何も言わずに子どもが見ている前で単に寄付した場合、子どもたちは自分の賞品を寄付した。

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