『世界に通用する子どもの育て方』より

学級経営

世界に通用する子どもの育て方』(松村 亜里 著)
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どのような関わり方が子どもの幸せにつながるのかを提示

・もともと興味のあるものに報酬を与えると、興味を失わせてしまう(アンダーマイニング効果)
・交換条件付きの報酬の害
・幸せになるには自己決定が大切で、誰かにコントロールされている限り、幸せにはつながらない
・子どもの育つプロセスでは親が「安全基地」となり、子どもはそこで安心と安全を得る
・安全基地となる大切な人との特別な関係を、心理学では「愛着」という
・愛の伝え方1 傾聴と非言語的コミュニケーション
・愛の伝え方2 肯定的な言葉
・愛の伝え方3 クオリティタイム(一緒に過ごす良質な協同活動の時間)
・愛の伝え方4 タッチ(スキンシップ)
・愛の伝え方5 サービス(生理的ニーズを満たす行動)
・愛の伝え方6 ギフト(お祝い)
・親から責められていると感じた子は、期待の高低にかかわらず自尊心が低く、そう感じている子は、期待が高くても自尊心は高い
・批判しないで支援する方法1 悪いことを人格のせいにしない
・批判しないで支援する方法2 「あなた文」でなく「わたし文」を使う
・批判しないで支援する方法3 暴力的なセリフは使わない
・条件付きでない自尊心を育てるセルフコンパッション(大切な人を思いやるように、自分を思いやること)
・大きな功績をあげた人に共通する「しなやかマインドセット」
・しなやかマインドセットを育てる方法
・ほめるときには期待を込めないでほめる
・ほとんどの親が、子どもの行動については、悪いことのように目がいってしまう
・自律性を妨げない制限のかけ方
・子どもは自分で決めたら、責任を持って守る。自分で決めさせないで責任だけ負わせようとしても難しい
・人は管理されていると感じるとほかの人を管理するようになる
・親がなんらかのプレッシャーを感じていると、子どもに影響する
・あなたが「幸せでない」から「幸せである」にスイッチすると、1マイル(約1.6km)以内に住んでいる友達が「幸せである」確率は25%も上がる。

・もともと興味のあるものに報酬を与えると、興味を失わせてしまう(アンダーマイニング効果)

1975年、カーネギーメロン大学の大学院生エドワード・デシが、立体パズルを解いたら報酬を与えるとしたどうなるか実験。

早くできた人に報酬を与えると言われたグループは、翌日、報酬がなくなったと知らされると、パズルへの興味をなくしてしまった。

・交換条件付きの報酬の害

1 創造的な課題でパフォーマンスを下げる。

2 そのこと自体への興味を奪い、内発的モチベーションが低下する。

3 報酬がなくなると、継続しなくなったり報酬欲がエスカレートする。

4 目的がすり替わってしまい、報酬を得るために不道徳なことをすることもある。

5 動物脳は活性化されるが人間脳が刺激されないので、自制心や自主性が育たない。

・幸せになるには自己決定が大切で、誰かにコントロールされている限り、幸せにはつながらない

デシは実践的なデータを用いて「人が生まれつき持っている3つの基本的欲求が満たされれば、人は自己決定し、精神的に健康になり、幸せになれる」とした。

①関係性…人とよい関係を持つ
②自己効力感…やればできると思える
③自律性…自分で選び決定できる

神戸大学西村和雄氏らは、20~70歳2万人の幸福度に影響を与える要因を調査し、幸せに関係していたのは、1位「健康」、2位「人間関係」(パートナーや職場の上司・同僚)、3位「自己決定度」(進学先や就職先を自分の意志でどのくらい決めたか)だった。

・子どもの育つプロセスでは親が「安全基地」となり、子どもはそこで安心と安全を得る

安心・安全 → 退屈・不自由 → 勇気・挑戦 → 失敗・思案 → 安全基地 を繰り返し、少しずつ活動の場を広げていく。

安全基地で安心と安全を得る。

そのうちに不自由を感じてきて、エネルギーが満たされたら、なんとなく冒険・挑戦したくなる。

勇気を持って挑戦すると、うまくいくときもあるが、失敗したりうまくいかないことがあると不安になって安全基地にもどってくる。

・安全基地となる大切な人との特別な関係を、心理学では「愛着」という

親と愛着を結べないと、「誰でもいい誰か」と愛着を結ぼうとする。

よくあるのが非行グループで、親と愛着を築けなかったり、忙しい親に迷惑をかけてはいけないと思った子どもたち同士が、愛着を結びあおうとする。

・愛の伝え方1 傾聴と非言語的コミュニケーション

子どもの話には、一生懸命に耳を傾ける。

体を向けて目を見る、笑顔、相槌、子どもの喋りを遮らない、自分の声のトーンを意識。

思春期は特に不機嫌センサーが敏感なので要注意。

・愛の伝え方2 肯定的な言葉

子どもへの愛や肯定的な気持ちを、言葉素直に表す。

大好きだよ、○○してくれてありがとう、がんばっているね、信頼しているよ。

親が間違ったら素直に謝り、親には受け入れにくい子どものネガティブな気持ちを、そのまま認めて共感する。

感謝せず、責めて弱みばかり指摘、結果や人格をほめたり、ネガティブな感情を否定したりすると、条件付きの愛が伝わる。

・愛の伝え方3 クオリティタイム(一緒に過ごす良質な協同活動の時間)

親子どちらからも積極的に関わる行為。

トランプ、ボードゲーム、お料理、ハイキング、スポーツ、勉強。

「○○ちゃんの日」と決めて、子どものやりたいことを一緒にやるのもよい。

・愛の伝え方4 タッチ(スキンシップ)

ハグ、マッサージ、膝に乗せる、だっこ、おんぶ、キス、こちょこちょ、手遊び、肩車、手を置く、背中をポンポン。

・愛の伝え方5 サービス(生理的ニーズを満たす行動)

食事をつくる、保育園の送迎、家の掃除、お風呂に入れるなど。

必要なサービスをまったくしないと、ネグレクト。

悪い子だからおやつをあげないとか、悪い子だから家の外に放り出すと、条件付きの愛が伝わる。

報酬や罰の中でも、生理的な欲求を用いると後々大きな心の問題につながる。

・愛の伝え方6 ギフト(お祝い)

誕生日会やクリスマスなど、お祝いの儀式は大切。

人は一緒に喜び人たちとの間で絆を強める。

プレゼントが愛の言葉の場合、値段や大きさとは関係なく子どもは喜ぶ。

100点を取ったら自転車を買ってあげるなど、交換条件付きの場合は、条件付きの愛が伝わる。

・親から責められていると感じた子は、期待の高低にかかわらず自尊心が低く、そう感じている子は、期待が高くても自尊心は高い

「あなたはできる」と信じていて、だけどできないときでも批判しないのが、無条件の愛。

子育てには「子どもを信じる気持ち」「無条件に愛する気持ち」の両方が必要。

・批判しないで支援する方法1 悪いことを人格のせいにしない

あなたは、なんてだらしないの! → 部屋が片付いていないわね

これを「非暴力的抵抗」といい、非行少年への対応にも使われる。

相手に伝わるメッセージは「あなたのことは愛しているけど、あなたのしていることは好きではない」。

相手は行動を変えられるので、希望が持てる。

・批判しないで支援する方法2 「あなた文」でなく「わたし文」を使う

「あなた」を主語にすると、相手は責められていると感じるので、責めたい気持ちの裏側にある本当の気持ちを表現する。

怒りの内側には、悲しみ、裏切られた気分、罪悪感などが隠れていることが多い。

・批判しないで支援する方法3 暴力的なセリフは使わない

非暴力的コミュニケーションというスキル。

あなたが○○すると(または○○という状況では)、私は○○(ネガティブな感情)だけど、あなたが○○をしてくれたら、私は○○(ポジティブな感情)だわ」となる。

「あなたが連絡をくれなくて、11時までに帰宅しないと、私は何かあったのではないかと心配になるの。これから遅くなるときは電話で知らせてくれたら安心する(うれしい、助かる)わ。」

親からの批判は子どもの自尊心を傷つける。

・条件付きでない自尊心を育てるセルフコンパッション(大切な人を思いやるように、自分を思いやること)

親が子どもを批判すれば、いずれ子どもは自分で自分を批判するようになる。

安定した条件付きでない自尊心を育てたいのなら、自分の思いやり(セルフコンパッション)を意識する。

・大きな功績をあげた人に共通する「しなやかマインドセット」

しなやかマインドセットとは「やればできる」という気持ち。

・しなやかマインドセットを育てる方法

1 能力は伸びることをそのまま伝える。

2 能力や結果ではなく行動やプロセスをほめる。

3 親が失敗を悪いものとして扱わない。

・ほめるときには期待を込めないでほめる

ほめるという言葉の裏には、相手をもっと頑張らせようとか、よい結果を出させようとかいうコントロールの意図が見え隠れする。

もし親がよい結果のためにプロセスをほめているのだとしたら、子どもはコントロールされていると感じ、それに抵抗し、結果、から回りするだろう。

・ほとんどの親が、子どもの行動については、悪いことのように目がいってしまう

私たちの脳は生まれつき悪いところに注目するようにできている。

太古の昔、生き延びるために悪いニュースを逃さないほうが、よいニュースに注目するより生存率を高めたから。

この傾向をネガティブ・バイアスという。

親は、かわいいわが子に生き延びてほしいから、愛しているからこそ、弱みを見つけて直そうとしてしまう。

・自律性を妨げない制限のかけ方

1 まずやりたくない気持ちに共感し、その気持ちを認める

2 なぜそのことが大切なのか、合理的な理由を説明する

3 圧力を最小限にした言い方や質問の仕方で伝え、選択の余地(自己決定)を与える

絵の具をこぼして遊ぶことが楽しいことはわかるけど(共感)、この場所はこのあと、ほかの友達も使うので(説明)、道具や部屋をきれいに使ってね(圧力を最小限に)」

よく学校の先生が、厳しく言っても聞かない子どもたちを怒鳴ることがある。

実は、それが子どもたちをさらに聞かなくさせている。

子どもたちの目線に立って共感し、理由を説明し、圧力を最小限にしたリクエストをするといい。

・子どもは自分で決めたら、責任を持って守る。自分で決めさせないで責任だけ負わせようとしても難しい

・人は管理されていると感じるとほかの人を管理するようになる

デシらの実験。

教師役を決め、問題の解き方を学生に教えるように指示。

教師役をランダムに2つのグループに分ける。

一方には「教師としてのあなたの責任は、生徒によい点を取らせるおと」とプレッシャーをかけ、他方には何も言わない。

プレッシャーをかけられたグループは他方に比べ、訓話らしき話をしている時間が2倍、「○○するべきだ」という命令的な言葉を2倍、管理統制的な話を3倍もしていた。

親、教師、管理職など上の地位にいる物が自律性を支援されなければ、子どもや部下の自律性を効果的に支援できない。

・親がなんらかのプレッシャーを感じていると、子どもに影響する

親が自分のストレスを子どもに発散してしまう。

安全だから。

本当は上司に不満があっても、直接不満を言えば翌日から仕事がないかもしれない。

そのストレスは無意識だが、より安全な場所、親を無条件に愛している子どもへ向かう。

子どもをコントロールして、子どもとの関係が悪くなり、子どもは、成長に一番大切な安全基地をもてなくなる。

統制されるほど、子どものモチベーションは下がり、罰は自尊心を傷つけ、何をやっても無駄と思い、自己効力感が下がる。

・あなたが「幸せでない」から「幸せである」にスイッチすると、1マイル(約1.6km)以内に住んでいる友達が「幸せである」確率は25%も上がる。

お互いがいい友達だと思っているとくに仲のいい場合は、その友達が幸せである確率は63%も上昇し、隣家の人なら34%上昇する。

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