『ヒトは「いじめ」をやめられない』より

学級経営

『ヒトは「いじめ」をやめられない』
(中野信子 著)
https://amzn.to/3ExWzYW

いじめをはじめとする社会的排除行為が、ヒトが種として存続することを有利にしてきた。

人類にとって、社会脳(思考共感創造計画行動意思自制)の働きが、種として生き残るために非常に重要な意味を持っていた

社会的集団にとって最も驚異となるものは、内部から集団そのものを破壊してしまう「フリーライダー」(ただ乗り=協力しない/邪魔をする/ズルをするヒト)の存在。

集団を破壊するリスクを回避するため、ただ乗りをしかねない人を排除する必要

高まり過ぎると生じる2つの危険性
・排除感情の高まり
・過度な制裁(知らないだけでルールを破る意思がないという人をも制裁してしまう)

仲間意識を感じさせるオキシトシンが、よい仲間をつくろうとするあまりに、他を排除する方に働く

オキシトシンは同じ場所にいるだけで働く

澤田匡人「規範意識の高い集団」ほどいじめが起こりやすい

対立する2グループは、遊んだり食事をしたりしても仲良くなりにくい。

協力しないと達成できない目標を設定し、そこに向かわせるようにした方がよい

仲の良い集団であっても、人が集団で行動すると道徳性が鈍化する

日本人の「裏切り者検出モジュール」は他国に比べて強く、逸脱者、逸脱候補者を見つけやすい

これにはセロトニンが関わっている
セロトニンが多いとリラックスし安心を感じ、少ないと不安を感じる

余ったセロトニンを使い回すセロトニントランスポーターをたくさんつくるL型と少なくつくるS型の遺伝子の人がいる。

日本人の80%以上がS型で、調査国中で最大。80%を超えたのは日本だけ。

快楽物質ドーパミンは、生きるために必要なこと(食事)を得たり、子孫を残すこと(セックス)をすると放出される

間違っている人を正す正義達成欲求や集団からの承認欲求によってもドーパミンが放出される

しかも匿名ならばリベンジのリスクもない(SNSの炎上)

ドーパミンが放出されると理性のブレーキがききにくくなる。
やっていることは悪くなく正しいと考えてしまう。

いじめられる側にも問題があると考える人は、オーバーサンクション(過度な制裁)機能が発動しているかもしれない

誰もがシステムと状況しだいで悪魔になる可能性(スタンフォードの刑務所の実験)

いじめられやすい人はリベンジされにくい人

・身体的に弱い
・言い返さない
・空気が読めない

一人だけ得をしているように感じさせる人

嫉みからいじめへ
自分と似たような人(類似性)が、自分より得している

学校は「類似性」「獲得可能性」が高いので、そもそもいじめが起きやすい集団。

異質な存在と思われる人(IGBT)

テストステロン

男性のテストステロンは9歳頃から急激に増え、15歳になるまでにピークに達する。

9歳以前の20倍

テストステロンは支配欲や攻撃性を強める男性ホルモン

この時期の男子は理由もなく攻撃性が高まる。

とにかくムカつく、手当たり次第に反抗・反発、攻撃の衝動

前頭葉のブレーキ機能も育ってくるが、それが成熟するのは30歳前後なので、まだ未熟

(5月~)6月、(10月~)11月はいじめが発生しやすい

その時期は日照時間が変わるのでセロトニンの合成がうまくいかず、分泌量が減り、不安感が増す

特に女子は男子よりもセロトニンの分泌が少ないので、普段は気にしないようなことでも気にしたり、気分が落ち込んだりする

過度に仲間意識を高めないことも、いじめ防止のためには心がけてもいい

頻繁にグループを変えたりして、集団を固定しない

テストステロンの分泌の多い男性グループは派閥的オキシトシンの分泌の多い女性グループは仲間的

男性の方が社会的報酬(評価・承認)を感じやすく、欲求が強い
 生理的報酬(食事、セックス)
 金銭的報酬(お金)

女性のいじめは、相手から見えない巧妙なものになりやすい
 リベンジを恐れる(体力が無いので)
 セロトニンが少なく慎重に行動しようとする

学校にいじめを報告しても報われる環境がないことが原因

教育関係者にとっていじめを報告することは自分のマイナスポイントを報告し、責任をとるためにするようなもの

いじめを通報する人はもっとも嫌われ、いじめられるリスクがあるため、通報は増えない

日本でいじめが激化しやすい要因の一つは同調圧力

大人のいじめ回避策

女性の場合、類似性を下げてねたみを受けないようにする
若い女性は髪を短くし、低い声でゆっくりと話すようにする

プロフェッショナルの部分を見せて獲得可能性を下げる

アンダードッグ効果
自分の負の部分、苦手部分をあえて見せて、自分は敵対しないということをアピール

相手の感覚や考え方を知って、60%の間柄になる
(メタ認知)

(「日本苦情白書」によると)

男性の苦情には 「正直」に語る潔さを見せることが有効

現段階で対応できない場合は、現状を素直に伝える(アンダードッグ効果)

女性の苦情には、相手に「共感」し、「安心感」がもてるようなことを伝える(子どものよさ)

女性は蔑ろにされている、ばかにされていると感じたときに怒りが爆発するので、現状を具体的にお伝えする。

子どものいじめ回避策

行事などは一過性であることを伝える
別の楽しみや社会的報酬を準備する

まじめな組織にはいじめがおきやすい

人間関係を流動的にして薄い関係にする

コメント

タイトルとURLをコピーしました