『Dark Horse 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』より

学級経営

『Dark Horse 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』
(トッド・ローズ 他 著)
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・標準化時代は、この「成功を目指して努力を重ねれば、いずれ充足感を得る」 という基本理念
・個別化の時代 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代
・自分のモチベーションの本質を理解することが、充足感を得るために不可欠である。
・「小さなモチベーションを見つける」 が、ダークホース的な発想の最重要かつ第一の要素
・ダークホースは平均ではないし、あなたも平均ではない
・「戦略を選ぶ」=「トライ&エラー」+「トライ&エラー」
・ダークホースたちは「目的地」を無視する

・標準化時代は、この「成功を目指して努力を重ねれば、いずれ充足感を得る」 という基本理念

自分の目的地を知り、それに向かって懸命に取り組み、コースから外れるな」というメッセージは、何世代にもわたってわれわれの胸に深く刻まれ、これこそが豊かな人生を確保するための最も信頼できる方策なのだと信じて疑わなくなった。

標準化時代は、この「成功を目指して努力を重ねれば、いずれ充足感を得る」 という基本理念に具体的な強制力をもたせてきた。

成功の追求が、彼らに充足感をもたらした」ではない。
「充足感の追求が、彼らを成功に導いた」 である。

標準化の目標は、何よりも生産システムの最大効率化であり、この目標を達成するための最も重要なことは、 多様性の排除 である。

標準化は、一定のプロセス、つまり一定のインプットを同一のアウトプットに(誤差も変動もなく)変換するプロセスを確立することなのだ。

言い方を変えれば、標準化という発想は、「個性的であるのは、問題だ」 という考えに基づいているということになる。

標準化の波はわれわれの子どもたちにも及び、学校教育にも及んだ。

実業界に驚くほどの成功をもたらした「標準化」に目を見張った教育改革者たちは、同じく徹底した効率化を図ろうと決めた。

この非人間的なシステムをわれわれが諸手を挙げて受け入れるようになった理由は、社会が〝暗黙の約束〟を標準化時代の市民と結んだからである。

目的地まで真っすぐな道を辿って行けば、雇用と社会的地位と経済的な安定が与えられるだろう、

エリートとは「他の人と同じことを、誰よりも上手にやる人」
「切なる望みを抑えつけ、幸福追求を後回しにせよ。専門性を極めるために、長く険しい道のりを脇目もふらず進むことが先決だ」

幸福は、コースから逸れずに必死に頑張った後に受け取る褒美なのだ。

真っすぐな道から外れて、充足感を得ようと突飛な行動に走るのは、自分を甘やかす向こう見ずな人間のすることだ。

下積みの時代を経ずして幸福を手に入れようなど、もってのほかであって、もしそんなことを言えば「わがままな甘ったれ」、あるいは「ミレニアル世代」などと笑われるのが落ちだ。

・個別化の時代 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代

本書『Dark Horse 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』は新たな「成功法則」が必要とされる時代が既に始まっているという確信に基づいて書かれている。

われわれの社会は今、まるごと「個別化の時代(the Age of Personalization)」 を迎えようとしているのだ。

二〇一八年に、非営利のシンクタンクが全米で三千名近くの男女を対象に、「成功に対する見方」について意識調査を実施し
た。

回答者の圧倒的多数が「成功を個人的に定義するとしたら、幸福感と達成感が何よりも重要だ」 と断言した。

どんな人が最も成功していると見なされるか?」と問われたときだ。

七四パーセントが「社会の定義によると、実力のある人」と回答し、九一パーセントが「個人的な定義によると、目的意識のある人」と回答した。

言い換えれば、「他人のことについては、金と力が成功の要件だが、自分自身については、個人的な充足感や達成感を成功の要件と見なす」 ということ。

ひとつだけ、どのダークホースにも共通する点がある。

しかも、それは見逃しようのないことだった。

彼らは「充足感(fulfillment)」を何よりも大切にしている のだ。

・自分のモチベーションの本質を理解することが、充足感を得るために不可欠である。

あなた独自のやる気を発揮することによってのみ、あなたは本来の自分の存在意義も、自己としての完全性も実感できるからだ。

ダークホース的な考え方から引き出される主要な課題は、個性を生かすことであり、この課題遂行が始まるのは、「自分を本当にやる気にさせるもの」 を見定めようとあなたが決めた瞬間

残念なことに、実はあなたのモチベーションの全体像を細かく見極めるのは思ったより簡単ではない。

なぜなら、広く受け入れられている標準化されたシステムが常にあなたの目を曇らせるから。

・「小さなモチベーションを見つける」 が、ダークホース的な発想の最重要かつ第一の要素

多くの人が競争は気持ちを奮起させるものだと思うが、逆にやる気をそぐものだと思う人もいる。

誰かひとりの心の中に、あるべきはずの普遍的な意欲が見つからなくても、それは生物学的な異常でもなく、また、道徳的な欠陥でもない。

単に、人間には驚くほど多様なモチベーションがある ということを反映しているに過ぎないのだ。

好きを突き詰めた「偏愛」こそが、人生を豊かにする!?

ダークホースたちは、「競争心」や「創造性の希求」のような(よく褒めそやされる)普遍的で漠然とした動機とは対照的に、 きめ細かく特定された、自分自身の(いわば偏った)好みや興味に突き動かされていたことを明らかにしている。

あなたが充足感を得たいなら、まず、 厳密に 何が〝あなたの帆〟に風を吹き込むかを知らなければならないということだ。他の人が考える、あなた向きの原動力ではいけない。

「自分の中の小さなモチベーションを掘り出すこと」の大切さをわかってもらえただろう。

しかし、それを突き止めるのは至難の業だ。

だが幸いにも、毎日あなたが直感的にやっていることを利用して、あなたの隠れた小さなモチベーションを発見し、光にかざして見ることができる。

私たちはこれを「判定ゲーム(the game of judgment)」 と呼んでいる。

・判定ゲームには三つのステップがある。

第一のステップは、 自分が他者をジャッジ(評価)している瞬間を意識すること。

いつ 評価しているか、どんなときに 評価しているのか自覚する必要がある。

第二のステップは、 他者を反射的に評価しながら、どういう気持ちが湧いてきたかを見極めること。

肯定的だろうと否定的だろうと、拍手を送りたい気分だろうと非難を浴びせたい気分だろうと、とにかく強い感情が表われるかどうかを自覚する。

第三のステップは、 他者に対してなぜそのような気持ちを抱いたのか自問すること。

自分に正直になることが大切だ。

これを物理学者リチャード・ファインマンは、次の言葉で警告している。 「自分自身を欺いてはならない。――そして、自分以上に欺きやすい人間はいない。

充足感を得るためには、自分の心に火をつけるものに――それが何であれ――正直に向き合わなければならない。

標準化されたシステムが広く行き渡り、深く浸透しているために、「判定ゲーム」には難しいところがある。

なかでも最も難しいのが、「なんらかの普遍的な動機によって意欲をかき立てられるべきだ」 という意識に抗しきれないところだ。

この意識があるために、自分の本当の欲求を見過ごしたり軽視したりしている。

・ダークホースは平均ではないし、あなたも平均ではない。

われわれは、「個性を消去した考え方」にあまりにもとらわれているため、われわれ個人が成功する可能性についても、 平均的な人間がどういう結果を出すかで判断できると思っている。

しかし、 ダークホースは平均ではないし、あなたも平均ではない。

平均は直線状の概念であり、ダークホースたちが平均を無視するのは、彼らがリスクを見積もる際に、(一次元的にではなく)もっと精密な分析を好む傾向があるから

ダークホース的な考え方では、リスクは「フィット」 によって決まる。

ダークホースたちは、ひとつの機会に巡り合うと、その特色と自分の個人的な動機がどれくらい一致するか細かく判断する。

つまりフィットは、 個人と機会の多次元的な相互作用 なのだ

真っすぐな道を辿ることが、成功するための最も安全なルートだという幻想がつくり上げられてしまった。

しかし実際のところ、 そのルートが安全と言えるのは、あなたが既存の〝鋳型〟に自然にフィットするごく少数の幸運な人々のひとりだった場合のみだ。

それ以外の場合は、あなたは「能動的な選択」のかわりに「受動的な二択か三択」をするしかなく、その結果、あなたの個性と既存の〝鋳型〟の間にギャップが発生する。

そのギャップに、純粋かつ完全なリスクが表出するのだ

・「戦略を選ぶ」=「トライ&エラー」+「トライ&エラー」

新しい戦略を選ぶときは、常に暫定的な物言いをすることになる。「これが、次に私がやってみることだ!」

これと大きく異なるのが、標準化されたシステムにおいての戦略選びの方法だ。

あなたは「唯一最善の方法」 を必ず選ばなければならない。

もしうまくいかなくても、とにかくやる気を見せて、辛抱強く頑張り続けるしかない。

そのままコツコツ努力しろ! 諦めるな! そして最終的に「唯一最善の方法」がうまくいかなければ、〝事実を事実として受け止めるときがきた〟ということだ。

自分には、その方法に必要な能力が備わっていない、

標準化の考え方では、戦略を選ぶことは、どのように コースから逸れないでいるかという問題である。

ダークホース的な考え方では、 戦略を選ぶことは、どのように試行錯誤するか という問題である

自分に合った戦略を見つけるプロセスでは、実のところ、ダークホース的な発想を実行に移して初めて、失敗することを想定する必要が生じるだろう。

失敗を歓迎しよう。

失敗は、スキルを伸ばす過程において、必要不可欠であり 決定的な 要素だ。

失敗せずに、あなたのファジーな強みの輪郭を浮き彫りにすることはできない。

トライした戦略はすべて、個人的な実験である

自分に合った戦略を見つけるプロセスは、発見と修正を何度も繰り返すという点で、極めて動的である。

あなたに合う戦略をひとつ見つけたとしても、ほとんどの場合、それで終わりにはならない。

その戦略であなたは向上し、その結果、あなたの強みは変わる。

その変わった強みをもっと生かせる戦略を試してみると、さらに、あなたの強みの動的マトリックスが変化する……というように、永遠に続いていくのだ。

・ダークホースたちは「目的地」を無視する。

しかし「目標」は無視しない。

ダークホース的な考え方では、この二つに明確な違いがある。

目標は、常に個性から出現する。さらに厳密に言うと、能動的な選択から生まれるものだ

対照的に、目的地は、自分以外の誰かが考えた目的に個人が同意し、目指すと決めた地点のことだ。

たいていの場合、目的地は、標準化されたシステムに与えられた機会によって決まる。

目標は、直接的・具体的に達成可能なものだ。

目標に達するために、あなたは直ちに色々な戦略を試みることができる。

出版社の締切に間に合うように小説を書き上げることも、来年度の営業成績を伸ばすことも、次のサッカーの試合に勝つことも、すべてダークホース的な発想に即した正当な目標である。

目的地が未来の出来事によって左右されればされるほど、あなたの充足感は損なわれる。

なぜなら、あなたが現実の変化を無視しなければならなくなるからだ。

ノーベル文学賞を獲得することも、売り上げナンバーワンの営業マンになることも、ワールドカップで優勝することも、すべて目的地である。

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