2024.05.01 発行
実感教育メルマガ2361号
昨日のメルマガでも紹介した「人生で
大切な11のルール」は、
ひところ、ビル・ゲイツの言葉として
ネット上を席巻していました。
しかし、やがてこれは誤りだというこ
とが分かります。
実際には、チャールズ・J・サイクス
の
『子どものための世の中を生き抜く
50のルール』
https://amzn.to/4a1OtqO
という本に書かれている言葉です。
この本はあまり話題にならなかったと
思います。
多分その理由はまえがきに書いてある
通りです。
(以下、まえがきより引用 適宜改行等をしています)
—–(引用ここから)
これまでの世代は、若者たちに人生の
浮き沈みへの準備をさせることを自分
たちの当然の義務とみなしていた。
賢明で現実的なアドバイスを若者に与
える書物はいくらでもあった。
子どもたちを甘やかし、楽しませ、彼
らの親友になることより、大人になる
ための指針を与えることのほうを自分
たちの仕事と考える人たちが書いたも
のだ。
しかし、最近では、実社会についての
教え方を誤るだけでなく、その中で進
んでいくためのツールを与えることに
も失敗している大人たちと、子どもた
ちは何年も過ごすことになる。
この本は彼らの影響力に抵抗すること
を目指している。
実社会で生きるためのユーザー・マニュ
アルとして考えてほしい。
—–(引用ここまで)
その結果
「世間には何でも肯定的にやさしく受
け止めてくれる本があふれているが、
この本はその一冊ではない。」
ということになります。
要するに、
「子どもたちを甘やかし、楽しませ、彼
らの親友になる」
ことを希望する人たちには、歓迎すべか
らざる本だったわけです。
では、この本には、昨日紹介した項がど
のように書かれているのかを見ておきた
いと思います。
「4 叱ってくれる人を大切に」
という項です。
—–(引用ここから)
学校の先生がきびしいと思うのは、い
まだけ。
将来の職場の上司はもつときびしい。
上司には終身の地位が保証されている
わけではない。
だから短気で怒りつはいことが多い。
君たちが何かヘマをしでかしたときに
は、それについてどう感じるかをやさ
しくたずねてくれたりはしない。
働くようになればわかることだが、
自己表現を奨励してくれたり、自分探
しの手助けをしてくれるような仕事は
ほとんどない。
自己実現が得られる仕事はもっと少な
い。
最近の子どもたちにのしかかる重圧
は搾取工場並みだという話なら、これ
までさんざん聞かされてきた。
ストレス、不安、抱えきれないほどの
宿題、重いバックパック、去年のジー
ンズのトラウマ……。
だが、しっかり理解してほしい。
アフガニスタンの上空で飛行機から飛
び降りようとしているのでないかぎり、
だれも君のバックパックの重さのこと
など聞きたいと思っていない。
—–(引用ここまで)
しかし、調査の結果、上記のような重
圧は、ほぼすべてが間違っていたこと
が明らかになったとのことで、
—–(引用続き)
ここでひと言忠告しておこう。
将来、そのすべては変わることになる。
大学ではまだ大丈夫だとしても、社会
に出て働くようになれば間違いなく変
わる。
君たちの上司になる人たちは、最初か
ら機嫌が悪いのだ。
上司にはさらに上司がいて、つねに結
果を求められている。
競争はどんどんきびしくなる。
(略)
つまり、君たちの上司は学校の先生
のように、間違ったところが正しくで
きるまで何度も励ましてチャンスを与
えてくれたりはしない。
報告書を書いたり、セールスをしたり、
仕事を締め切りに間に合わせる代わり
に、ジオラマ作りや創作ダンスでごま
かすことはできない。
これまで君たちが人生の大部分を過
ごしてきたタソフトな世界と、まもな
く出合うことになる“ハードなアメリ
カ”の違いのひとつは修身在職権のあ
るなしだ。
—–(引用ここまで)
このあたりまでは、昨日の文脈と同じ
なのですが、
こちらの本には、この後に、教師にと
っては耳の痛い話が続きます。
こんな感じ。
—–(引用ここから)
学校の教師は、教室を崩壊させても校
長になれる。
学校を崩壊させても、地区の責任者に
なれる。
地区全体を崩壊させても、まだ“教育
コンサルタント”の道が開かれている。
彼らは君たちの名前のあとに適当な成
績を記しておけば、実際に問題を解決
したり、何かを達成したりすることも
なく、一生を過ごせる許可証が与えら
れる世界の住人なのだ。
このことに気づかれた場合に備えて、
彼らは実際には何の意味もない賞をお
たがいに与え合っている。
あとは、学校の理事会をなだめ、保護
者と子どもたちと納税者を威圧する方
法さえ知っていれば、万事オーケーな
のだ。
—–(引用ここまで)
そして最終的には、そのような立場に
ある(ゆるい、あるいは、ぬるい)教
師に、
将来を任せることがあやういと言って
います。
—–(引用ここから)
この組織的な欠陥は、教師が熱心に
働いていないとか、大きな重圧にさら
されていないという意味ではない。
ほとんどの教師は生徒たちに十分なレ
ベルの成績を残してほしいと思ってい
る。
しかし、生徒の学力向上に関して彼ら
が抱えるプレッシャーは、部下が満足
できる仕事をしないと、自分の家を売
りに出したり、妻の両親の家に世話に
なったりしなければならなくなるとい
う、企業の経営者や管理職が抱えるプ
レッシャーとはまったく別物だ。
ここで見られる矛盾した状況──そ
れは、ますます競争がきびしくなる世
界に飛び込もうとしている若者たちに
そのための準備をさせる仕事を、いく
ら失敗しても身分を保障されている人
々の手にゆだねてしまっているという
ことなのである。
—–(引用ここまで)
実に耳の痛い話です。
教師は「間違ったところが正しくでき
るまで何度も励ましてチャンスを与え
てくれ」る存在ではありますが、
「教室を崩壊させても校長になれる」
ような、
企業の経営者や管理職が抱えるプレッ
シャーとはまったく別物の中で働いて
いると言います。
そのようなぬるい場所で働いている人
間に、
「ますます競争がきびしくなる世界に
飛び込もうとしている若者たちにその
ための準備をさせる仕事」を
委ねてしまっていいのか、いや、いい
はずがない、と述べています。
アメリカと日本では事情が異なります
が、
根本のところは心しておきたいことだ
と思います。
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