『プレイフル・シンキング 働く人と場を楽しくする思考法』より

仕事術

『プレイフル・シンキング 働く人と場を楽しくする思考法』
(上田信行 著)
https://amzn.to/3lTa9PG

・「プレイフル」とは、物事に対してワクワクドキドキする心の状態を指す言葉
・夢中になれないのは、課題がおもしろくないからだ。
・キャロル・ドゥエックは、モチベーションを「課題の意味づけと状況を自分でコントロールできそうだという見通し」であると捉え
・「パフォーマンスゴール(成績目標)」 と「ラーニングゴール(学習目標)」
・失敗を「Not Yet」と捉えなおす
・ビジネスで使えるプレイフル・アウトプット

・「プレイフル」とは、物事に対してワクワクドキドキする心の状態(state of mind)を指す言葉である。

仕事を楽しむためのエンジン として考え出した概念である。

自分の行動や考え方を多角的に眺め、状況に応じてみずからをコントロールすることができれば、仕事をより楽しく、豊かにすることができる。

さらに、憧れは自分ひとりで実現するよりは、他者とのかかわりにおいて実現できた方がもっと楽しい。

・夢中になれないのは、課題がおもしろくないからだ。

仕事をおもしろくする ── 課題設定

プレイフルさを取り戻すための第二ステップは、課題に没頭することである。

そもそも人は、課題がおもしろければ、無条件で夢中になってしまうものである。

あなたも好きな趣味に対しては、他人からどう思われるかなど気にせず、時間を忘れて夢中になってしまうのではないだろうか。  

仕事でも、課題さえおもしろければ夢中になって取り組めるはずである。

夢中になれないのは、課題がおもしろくないからだ。

ここで大事なことは、 自分なりに課題を設定しなおして、「これは私の仕事ではない」を「これは私の仕事だ」に変える ことである。

では、課題を設定するとはどういうことなのか考えてみよう。  

たとえば、上司から得意先への提案資料を作成してほしいと頼まれたとする。

「こういう提案をするから、これらの項目について調べて資料を作成してほしい」。

そこであなたは自分なりに考えて、「他にもこういうデータがあったほうが、より説得力が高まると思います」と上司に提案する。

言われたとおりに課題をこなすのではなく、自分ならどうするかという視点で課題を捉えなおしてみる。

これが「自分なりに課題を設定しなおす」ということ

・キャロル・ドゥエックは、モチベーションを「課題の意味づけと状況を自分でコントロールできそうだという見通し」であると捉え、課題の意味を見いだして達成するまでの見通しが立ち、その先に課題を達成できる自分をイメージできたときに、モチベーションは高まると考えたのである。

このようにモチベーションをメタ認知の視点から捉えた点が、僕にはとても新鮮だっ

一見して嫌だなと思う仕事でも、私はこの仕事から何が学べるだろうか、この仕事を成功させたらどんな展開が期待できるだろうか、といった別の視点から捉えてみると、その仕事に取り組むことの意味や価値が見えてくる。

そして、仕事に対してポジティブな意味を見いだせたときに、仕事はおもしろくなっていくのである。  

そのためには、目標は誰かが設定した目標ではなく、「あなた自身が設定した目標」でなければならない。

はじめは誰かが設定した目標であったとしても、あなた自身の目標として捉えなおす必要があるだろう。

これは前章で述べた「課題を設定しなおす」ことにも密接に関連しているが、自分の仕事だと認識しない限り、仕事に真剣に向き合おうとは思わないからだ。

そう考えると、目標設定とは、 あなた自身が仕事とどう向き合っていくのかを意思表明したものであるとも言えるだろ。

・「パフォーマンスゴール(成績目標)」 と「ラーニングゴール(学習目標)」

子どもが勉強する動機には2つの目標があると指摘している。

「パフォーマンスゴール(成績目標)」 と「ラーニングゴール(学習目標)」である。

成績目標をもつ子どもは、成績をよくすることが勉強の動機になっており、もう一方の学習目標をもつ子どもは、学ぶこと自体が楽しくて、それが勉強の動機になっているというのだ

会社から求められるのは往々にして成果目標であり、あなたに仕事のやりがいを感じさせてくれるのは学習目標であることが多い。

2つは相反する性質をもっているので、こちらを立てればあちらが立たないということが多いのだが、どちらか一方だけで解決できるという話でもないのが問題である

・失敗を「Not Yet」と捉えなおす

あなたが潜在能力を十分に発揮できるのは、可能性をもった存在としてあなた自身を認識したときである。

だから、他者から厳しく評価されたときは、それを卑屈に思うのではなく、自分の現状認識を上方修正するきっかけにしたいものである。

そこから新しい自分を発見したり、よりよい方向へ変わっていくための飛躍のバネにしていこ

失敗は恥ではない。

一歩を踏み出せる人と踏み出せない人には、失敗をどう捉えるかにも大きな違いがある。

失敗はいけないことであり、失敗は恥だと考える人は、失敗を恐れて挑戦しにくくなるし、安全で無難な道を選ぼうとする。

一方で、いまの自分にできる精一杯のことをやったうえでの失敗は、むしろ成長のための投資だと考えている人は、失敗を恐れないので、一歩を踏み出すのにためらわないの

僕の「失敗」に対する考え方をさらに一層強めたのは、この本の基底になっているキャロル・ドゥエックのTED Talkだった。

彼女は、あるシカゴの高等学校の成績を見て驚いたそうである。

アメリカでは普通落第点を取ると「F(failing grade)」 の評価がつくけれど、その学校では、「Not Yet」 と評価していたのだ。

Not Yet──。まだできてないだけ。

つまり、「まだ目標に到達していないだけで、もっと努力すれば目標に近づける」 というメッセージだ。

失敗を「Fail」と捉えてしまえば、失敗した時点ですべてが終わってしまうけれど、「Not Yet」と捉えなおすだけで、「目標にたどり着くにはどんな改善や努力が必要だろうか」と前向きに考えることができる

・ビジネスで使えるプレイフル・アウトプット

①ポスト・イット ®  みんなのアイデアや感想を書いて、貼るだけで、意見を共有したり議論を活性化できるツール。

②ロッケンロール(大きなロール紙)  

みんなの意見や感想を大きな紙に書きながら、参加者同士が一緒に考えることができるツール。  

僕がいつもワークショップで使うのは、 788mm×50mの長くて大きなロール紙。  

これを床やテーブルの上に広げ、参加者には感じたことや考えたことを自由に文字や図に表現してもらっている。  

この紙を囲んでディスカッションすれば、みんなで一緒に考えるためのツールにもなるし、幕のように天井から垂らして使えば、空間を演出するための小道具にもなる。みんなでこの紙に発色のいい ヴィヴィッドな太いペンを使って書けば気分がロックになる。

③レゴブロック ®  

気持ちや考えをレゴブロックで表現することで、共感しながら対話し、みんなでアイデアを共有、省察することができる。  

無形のものに色や形を与えるという意味で、ユニークな表現や省察の手段となっている。  

僕が授業やワークショップでよくやるのは、レゴブロックを使って気持ちを表現してもらうというものである。

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