『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』より

仕事術

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』(小泉健一 著)

「自己決定論」「目的論」「全体論」「対人関係論」「認知論」

① 自己決定論・・・自分のことは自分で決めている。

主体論とも言われる。

すべて自分で選択できる。

この感覚が幸福度に繋がる。

これからの未来は自分でいくらでも変えることができる。

過去がどうだったかは関係ない。

② 目的論・・・人の行動にはすべて目的がある。

過去に囚われて行動できないというのは嘘。

人間は目的に向かって生きているので過去がどうであれ、目的次第で人生は変えられる。

③ 全体論・・・心と体、感情と思考、意識と無意識、すべてひとつの統一体。

そのすべてが自分という存在で矛盾はない。

④ 対人関係論・・・人の行動や感情にはすべてに相手がいる。

人の悩みはすべて対人関係に帰結する。

⑤ 認知論・・・人は見たいように世界を見ている。

物事には良いも悪いも意味はなく、世の中すべて自分の解釈であり、人それぞれの認知がある。

「課題の分離」「勇気づけ」「共同体感覚」

「課題の分離」・・・課題や問題が生じたときは自分でコントロールできることなのかそうではないのか考えること。

他者の課題であれば介入しないこと。

自分の課題であれば他者を介入させないこと。

人の意見や批判は気にする必要はない。

「勇気づけ」・・・「勇気」とは「困難を克服する活力」である。

部下や子どもを教育するときや友人を励ますときは、「勇気」を与えるように接しよう。

「褒める」「叱る」という上下関係ではなく、対等な横の立場から感謝や気持ちを伝えたり、結果だけではなく過程を見てあげたり、存在や行動をまず受け入れてあげること。

相手が主体的に行動できるように接しよう。

アドラー心理学の最終目標《共同体感覚》

人は他者への貢献で本当の幸福を感じる。

ありのままの自分を受け入れる「自己受容」、

他者は自分を支えてくれているという「他者信頼」、

自分は他者へ貢献しているという「自己信頼(他者貢献)」

を感じることで、自分はここにいていいんだという「所属感」を持つことができる。

それが「共同体感覚」へ繋がる。

コントロールできないことに悩んでいても思うようにいかずただ苦しいだけ

「課題の分離」とは、 自分のことは自分で、他人のことは他人でしかコントロールできない、自分と他人の課題を分ける ということです。

コントロールできないことに悩んでいても思うようにいかずただ苦しいだけ。

誰一人として同じ人間はいません。

人の数だけ考え方・価値観があります。

自分の思った通りの反応をしてもらうこと自体とても難易度が高いと思いませんか。

相手へ期待をし過ぎるのはやめましょう。

そして他者がどんな反応してくるかなんて、自分ではコントロールできないので悩む必要もありません。

ピンク色のレンズの眼鏡をかけている人は世界がピンク色だと勘違いをしている。自分が眼鏡をかけていることに気づいていないのだ。

アドラー心理学でよく「認知のメガネ」と言われます。

人は自分の見たいように世界を見ています。

自分がこうだと思ったらそのようにしか思えなくなるようなことってありませんでしょうか。

例えば、知人の嫌なところがひとつでも垣間見えると、もうその人が嫌な人にしか思えなくなるように。

誹謗中傷なんて「劣等コンプレックス」の代表的な行動

「劣等コンプレックス」・・・「劣等感」をこじらせ、行動に移してしまうことです。

例えば誹謗中傷なんて「劣等コンプレックス」の代表的な行動です。

誹謗中傷は、自分が劣っていると感じているから、他人も陥れて評価を下げて劣等感を埋める行為。

自分がプラスになることは全くない生産性のない行動であり、他人にも不快感を与える愚劣な行為です。

存在している価値自体がなくなることはない

存在価値(Being)と、機能価値(Doing)と分けて考えられますが、アドラーが言うのは、仕事で成果がでなくても、誰かに貢献することができなくても、存在している価値自体がなくなることはないということ。

どんな能力を持って生まれたかはたいして問題ではない。重要なのは、与えられた能力をどう使うかである

あなたにはあなたの良さが必ずあります。

他人と比べずに自分がすでに持っている能力で何ができるか考えましょう。

自分の人生、あなたが主人公です。

あなたがどうしたいかが大事なのです。

自分ですべて決められる。

怒られて自信を失ったということもあなたが「自信を失う」と決めたのです。

「人間は、自分の人生を描く画家である。あなたをつくったのはあなた自身。これからの人生を決めるのもあなただ」

目的論は何かを成し遂げるために今の自分の行動や感情があると考える

原因論で考えると「ミスをたくさんして先輩にも怒られたから向いてないと思った」ということになります。

しかし、目的論で考えると「またミスをして怒られたくないから」「これ以上自分のプライドを傷つけられたくないから」という理由で営業の仕事から逃げようとしていたということになります。

原因論は、自分の行動や感情に原因があるという考え方ですが、目的論は何かを成し遂げるために今の自分の行動や感情があると考えるのです。

アドラーはこう言います。

「『やる気がなくなった』のではない。

『やる気をなくす』という決断を自分でしただけだ。

『変われない』のではない。

『変わらない』という決断を自分でしているだけだ。」

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